俳優 ビリー・ポーター。

2021/05/30

HIV・AIDS

t f B! P L

 皆さんこんばんは。



14年前、HIV陽性である診断を受けた。

エンターテインメント情報を扱うThe Hollywood Reporterである俳優がそう告白した。


俳優、ビリー・ポーターだ。

キンキーブーツのローラやPOSEのプレイ・テルと言えば、あの人か!と思う人もいると思う。




彼は聖霊運動から生まれたペンテコステ派の家庭に生まれたという。

キリスト教は細分化されていて、ほんとはなかなかに複雑なのだが、

うろ覚えだが、 異言(聖霊からのお導きと考えられた)のある信仰だったり、

神と繋がるためにダンスや歌を歌ったりする教派で原理主義的なところもある。



HIVだと分かったのは2007年6月。


糖尿病、そして破産。


その直後にHIV陽性まで確定と、同じ年に立て続けに困難が押し寄せた。

恥の意識が積み重なってきた人生の中で「HIV」が加わってしまった彼は

14年間にわたり、母親にそれを口にすることなくやってきたという。


公表したら、みんなが最初に思うのはHIVの人ということ。

でもそれは自分の一側面だと彼は言う。


それは彼の活動からも明らかだ。

エミー賞やトニー賞などを獲得し、誰もが認める一流俳優になった。


その彼も子供の頃に性的虐待を受けていた。

「なぜ生きているのか」ずっと自分に問いかけてきて1つの結論にたどり着いた。

今の自分を見せることで、何かを成し遂げるのにHIVは関係ないことや、

医師を信用しない自らのコミュニティに、通院する事の大切さを知らせること。


いろんな事を考えて公表したんだろうなあ。


そして、宗教というしがらみの中、母親が受け入れてくれた。


「なにがあっても愛してる」と。

なんだか自分の事のように嬉しくなったな。



ニューヨークのボールカルチャーを描いた「POSE」

セクシャルマイノリティにとって治安がいいとはいえない時代。

ボールルームでダンスの技をチームで競うのだがその人間模様が深いのだ。

彼はこのドラマの中で、HIV陽性の役だったんだけど妙にリアルだなと思ってた。


自分の経験を役に昇華させてたんだね。すごいと思った。


80年代は、エイズはゲイの癌と呼ばれまだまだ死に至る病だった。

当時、抗がん剤だったジドブジンが効果があると使われたが重症化するばかりで

画期的なHAART療法はやっと90年代に入ってからのことだった。


残念ながら、エイズに課せられたイメージは今もそう変わってない。


いまは服薬しててウィルス検出以下なら感染させることはない。

この世に100%はないけれども、可能性は限りなくゼロという認識になっている。


もちろん科学的根拠のあるものだ。


HIVはひじょうに弱いウイルスなので、空気に触れたりすると死滅する。

服薬すれば感染に必要な量のウイルスはどうしたってないのだけどね、、、、、



死亡する患者は激減したけど、人間の本質に関わる心の部分に触れるとき

自分自身の闇とか、周りの人とどう接してどう最期を迎えればいいのか

そのようなことを今でもよく考えることがある。


昔、少しばかり薬害の子と知り合いだったことがある。

その子は、ドクターショッピングをしていて医師に諭されていたんだけど、

理想の居場所を求めていたのかな、自分を受け入れられずに苦しそうだった。


2人でよく話したんだけど、人懐っこくて可愛かった。

あのころは、どちらも人にどう見られているのかとても怖がっていたと思う。


同じ病を持ち、一緒に過ごす中で僕はとても穏やかだった。


それなのに、もう連絡先も分からなくなってしまった。

心から元気に生きててほしいと思う。



これだけ長いあいだ患者をやってて思うのは

医療従事者ですら嫌悪感を持ってる人はいるから、普通の人達が、

この病気をよく思わないのは当たり前な感情だよねって、そう思うのです。


だけど、いなくなればいい人間から、怖がらなくてもいい人間になれたら。

ちゃんと病気のことを知れば怖くないし、僕達は共存していけるんだよって。


もちろん、権利とか差別とかを声高に主張する気はない。

僕は人前に出ないし、そういう意味ではズルい立場ではあるけど

ブログを書くことで、なんだ、どこにでもいる普通の人間じゃんかって。


そう、感染者はどこにでもいる普通の人間なんです。


朝起きて、歯を磨いて、ご飯を食べて、仕事をして、親の世話をしたり、

たまには服を買ったり、相方の喜ぶ顔が見たくてプレゼントをしたり、

ほんと、たわいもないような、どこにでも転がってる普通の生活なのです(笑。


手を抜くところもあるし、やると決めたらやり通すし、

やきもちだって焼くし、意地悪ばかりする親達にはイライラだってするし、

寂しくて泣きたくなることもあるし、相方にはなにか残してあげたいし、

きっと他の人と考えてることや、その時の気持ちもそう変わらない。



自分があとどれだけ生きてるか知らないけど、

相方にも他の人にも生き方で見てもらえたら嬉しいと思うよ。


それじゃまた。










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