暖冬ということもあって穏やかな年明けになりましたね。
晦日は年越しそばを食べたあと、除夜の鐘をつかせてもらうために
相方の家が檀家になってるお寺へ出かけました。
ライトアップされた境内は荘厳な雰囲気に包まれており、
煩悩を祓うために鳴り響く鐘の音に耳を傾ければ自然と心は静かに澄んでいきます。
こうやって相方の家族と過ごすのは何年ぶりだろうか?
年末はお正月飾りを作ったり、年賀状を書いたりとわりと大忙しでしたが、
いつもだと仕事漬けで年始もなにもなかったので久々に楽しかったです。
でも病人だらけの家なのでおせちなんかとても作る気力がなくて、
今年もご多分に漏れず昨年と同じところで頼んじゃいました。
相方の家は新居で迎える初めての正月なのでかなり張り込んだおせちを頼んでいて、
なんだかんだと誰かと一緒にごはんを食べることがなにより嬉しい。
明けて元旦は土地の神様へご挨拶をと、ボクらの家の近所にある氏神様へ恵方参りにいきました。
年の初めの祈願に訪れる人々の莞爾たる姿は、
見ているだけで清々しい気持ちになるから不思議なものです。
手水舎で身を清めたらお賽銭入れお願いごとをするのですが、
凜とした厳かな空気の中で周りがヘンにざわついているので相方を見ると
鈴緒をブンブン揺らしながら号泣しているので何事かと思えば、
お前とまた一緒にお参り出来て嬉しいとのこと。
いい加減恥ずかしすぎると思ってたら、お母さんが今度うちの娘ちゃんを泣かしたら
承知しないと相方に対して啖呵を切りはじめ、え?娘って?とさらに周りがざわつけば、
極めつけがお父さんのオナラで後ろにいた小さな女の子がブーって!と言うと大爆笑。
もう顔から火が出るくらい恥ずかしくって死にそうだった。
髭の生えた娘はHPを根こそぎ奪われてヘナヘナになってるのに横でなぜかお父さんはドヤ顔で(汗。
.......でもこんな家族ずっと欲しかった。
知れば知るほど浮き世離れした家族だけど、
いつだって笑いの絶えない暖かな人たちでその家族像をボクは心から羨ましく思う。
迎えてもらえたことで、彼の家族とは対照的に自分の機能不全家族が浮き彫りになるから
なんだか気後れしてしまうけれど、ゲイだからなんてことは些細なことだと言わんばかりに
1人の人間として付き合ってくれることに心から感謝するばかりです。
そろそろ籍を抜くときかな.....
この家族を見てボクは分籍という1つ重大な決断をしようとしている。
父にあれほどの事をされたのに、
それでもいつか父親らしいことをしてくれるんじゃないかとどこかで期待していた自分がいた。
父親に窓ガラスを全部割られて寒さに震えた冬の夜のことや、
ストーカーとのダブルコンボから逃げ回るためにしたホテル暮らしが今でも夢に出てくる。
母親は恐怖と悲しみのあまり食べ物を口にすることができずにやせ細っていき、
ボクは口からうまく言葉が出なくなっていたあのころのことは忘れられない。
母を見るとどうしても凄惨な逃亡生活のことや、
父親の在りし日の姿を思い出して萎縮してしまうので
互いに離れるのがベストだと考えて今に至るのだけど、
それでも父親のことを恨めずにいたボクがいたりする。
いつかちゃんと話せる時が来るんじゃないかと待ち続けて25年、
とうとう父からは一度たりともボクへ連絡は来なかった。
この年齢になればいろいろと諦めることも大切だと思う。
介護するような時になって調子よく連絡をくれてももう遅い。
そんな家族でもきっと楽しかったことはあるはず、、、、
そう記憶を巡らせても何も思い浮かばない。
それが答えなんだと思う。
雲は流れ、鳥は謳い、季節は移り変わり、
生きとし生けるものは継続的に続く毎日を繰り返しながらその命を詠み続けていく。
人間が決めた摂理は関係なく時間は刻々と過ぎていくから
自分自身に忠実に生きることから目を背けてはならないと思うんだ。
周囲に病気を隠しながら病気と闘っていく心細さは時に言いしれぬ不安に苛まれることがある。
標識のない道にゴールはあるのだろうか?
そう悩みながらこの10年を過ごしてきたけれど気づけば自分の居場所が出来ていた。
自分探しの人生は、気まぐれなその答えを
一緒に探してくれる人のことを信じることからはじまるのかもしれない。
満ちあふれる朝日、部屋いっぱいに放たれる香りは
希望でありたいと願うから見た事もない世界を怖がらずにいたい。
世界はこれほど広がっているのにその視野は狭くなった。
過ぎし日の世界から抜け出せずに今を生きていないせいで人生の歓びも少ない。
本当にしたかった事を成し得ていないから人は心の震える瞬間を忘れてしまう。
この胸に抱えた矛盾は本当の願いを知るためのメソッドであり、
心の中にある替えがきかない想いを探す旅でもある。
自分の周りだけが世界の全てじゃないということを
教えてくれる病気はなにも悪いことだけではない。
今はそんな風に思うのです。
新しい日によせて。
風太。