ラストメッセージ。

2015/12/31

家族のはなし

t f B! P L
朝、挽きたてコーヒーの優しい香りで目覚める。
ここ数日は相方がお泊まりしてくれて、必ずコーヒーを入れてくれる。

小さな幸せ。こんな毎日が続けばいいのにと心から思う。

最悪な一年だったけど、全てを失ってなお残っているものが
いまのボクを支えている、そんな気がしています。

この年の瀬につじつま合わせのようにも見えなくもない、
それでも相方と笑いあうことができる時間が何よりも嬉しい。

「風ちゃん、渡すのが遅くなってごめんね。」

昨日、亡くなった知人のご家族からエンディングノートを託された。

家族用とボク用に二冊用意してたようで、
ほんとマメな人だったからねーと寂しく笑う奥さんを見るのが辛かった(涙。

.....ボクにとって知人は父親代わりのような人だった。

開業に必要な技術を会社で習得させてくれたうえ、
数年で独立への道筋まで立ててくれた彼には感謝の念しかありません。


「君ともっとちゃんと話をしておけば良かった。」
そんな何気ない一文からはじまるエンディングノート。

消えゆくまでに残したい最期の言葉はボクへの心配事で埋め尽くされていて、
その心中を慮るとボクはなんだか申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

写真が貼ってあったり、絵が書いてあったり、ボクとの想い出を辿るいわば備忘録になってて、
1ページ、1ページ、噛みしめるように読み進めていくうちに気づけば泣き笑いになってる自分がいた。

闘病のカタチは人それぞれだ。

立ち止まることは悪いことではない。
これからは休むことをちゃんと覚えてもっと人に頼りなさい。

家族との時間を犠牲にするほど一生懸命働かなくてもよかったと
終わりを迎えるころになって後悔が尽きない。

難しく考えなくていい、苦しいなら苦しい、嬉しいなら嬉しい、
泣きたいなら泣きたい、ちゃんと素直に伝えればいいんだよ。

病床に伏してまで綴ってくれたノートは、
最後は字が掠れていて読めない箇所もたくさんあった。

だけどボクは心で感じたままを脳内で補完しながら
一字一句見逃すまいと何度も繰り返し熟読してたら外は暗くなってた。

エピローグは、君のことを息子のように思ってたよ。
もっとしてあげたかったことたくさんあったのにごめんね。
あいつ(奥さんのこと)とこれからも茶飲み友達でいてね、、、、そう締めくくってあった。

彼と一緒に見たアナと雪の女王とその時のくったくのない笑顔が忘れられない。

もっと素直に甘えればよかった、もっと伝えたいことがあったのに
自分の口下手さ加減がほんと嫌になります。

見たいものと見せたいものがあって、
聞きたいものと聞かせたいものがある。

死と背中合わせに人の想いを知ることは、こんな自分に心を許してくれてたんだという嬉しさと、
いつも目標にしていた人が消えてしまったという事実に
やるせなくなって綯い交ぜの気持ちで頭の中がぐちゃぐちゃになる。

最期の覚え書きに記された優しさの欠片は悲しみを癒してくれながら、
ボクが迷ったりしないようにという気持ちで溢れていて。

いまでもその儚い命に戸惑っているけれど、
いつかまた彼に逢えることを信じてそれまでは笑ってさよならしたいと思う。

人は誰かの思惑に振り回されると途端に自分を見失なってしまう。

思い描いていた将来が崩れ去ったとき、人はどこへ向かえばいいのだろうか。
大切なものがこぼれていくのを受け入れたら、いつか明日を感じられるようになるのだろうか。

頭を垂れればいつか空の青さも忘れていくから変わりゆく自分を悲しく思わないでいたい。

徒然なるままに梢に纏わり付いた新芽が震え出すころ
冬を耐え抜く雪の雫がやがて花ひらくように歌いはじめる。

朝、眼を開く瞬間の麗らか日の光は生命の息吹を運んで、
その打ち捨てられた日常を拾いを集れば、針はまたチクタクと時を刻み始めるんだ。

愛するものと過ごす時間は永遠ではないのだから
同じ願いを分かち合えたらこれほど幸せなことはない、そう思います。


冬の重たい空気が柔らかいものへ変わるころ、春はもうすぐだ。


今年もあと十数時間で終わろうとしています。
来年は皆さんにとって素敵な一年になりますように。

どうか、健やかに良い年をお迎え下さい。





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