Winter wishes

2015/12/25

パートナー 家族のはなし

t f B! P L
また今年もこの季節が巡ってきた。


子供のころはサンタクロースが夢を叶えてくれた。
それが大人になると途端に奇蹟を信じなくなるから空漠たる思いに身を焦がすんだ。

昨日、午前中にわんこが退院するので病院へお迎えに行ってきました。
点滴とお薬のおかげでだいぶ元気を取り戻してはいたが数日の間に少し痩せてしまっていた。

それでも意気揚々と歩いてくる姿を見つけると思わず笑みがこぼれているボクがいて。

院長先生の趣味なのか、スタッフがみな可愛い女の子ばかりで
一瞬ここが病院だということを忘れてしまうのです(汗。

そしてうちのわんこは女の人が大好きなので、
ボクに一瞥すると何食わぬ顔で病室にトコトコ戻ろうとして大爆笑されてました。

なんだかいつものわんこらしい仕草を見てやっと少しだけ安心できた気がします。

帰り道、相方とボクとわんこたちでお散歩しながら、
はじめて彼らに出逢ったころのことを思い出していた。

一緒に山登りをしたり、自転車で伴走したり、
キャンプでずぶ濡れになったり、海で泳いだり、川くだりをしたり。

思い返すほど快活なころの彼らの姿ばかりが鮮明に蘇ってきて、
今の年老いた彼らを見るともっとしてあげられる事は無いかと
焦って探してしまう自分がいます。

雨上がりの街路樹、優しい風が吹き抜ければ時間がゆるやかに流れていく・・・。

昨年の今ごろは相方へ癌の告知をして号泣されたのを覚えている。

変わっていくものと変わらないものがある。

通り過ぎてしまった場所にはもう戻れないけれど
大きな喪失感はいつか穏やかなものへ変わると信じたい。

そして、紐付けられた記憶がいつかただの情報へと
すり替わっていく日が来ることをボクは心から願っている。

この一年、火や包丁を使っているときに倒れられたりしたら心配だという理由で
相方をはじめ友人たちにキッチンに立つのを口々にキツく止められていた。

でも今年のわんこ用のクリスマスケーキだけは絶対に自分で作りたかった。

なので相方監視のもとで作る許可をもらえたけど、
成形などの技術が錆び付いてないか不安だったけどそれは杞憂でした。

久しぶりの料理はめっちゃ楽しい。
まずはどんなケーキを作るか設計図まで書いちゃったりしてかなり張り切りました。

飾り用に骨型クッキーを焼いて、フルーツのジュレを何種類か作ってと
1つ1つの作業もわんこの喜ぶ姿を思い浮かべるとワクワクするから不思議です。

元相方と出す店はカフェだったから、
彼には内緒で知り合いのパティシエのところで一年間修行させてもらってた。

自分の仕事が終わってからだからいつも夜中のレッスンだったけど、
知り合いからはどこでもすぐ働けるよとお墨付きが貰えるくらいにはなった。

他にも休日を利用してウッドデッキの作り方を覚えたり、
耐火レンガを使ってピザ釜まで作れるようになった。

溶接だって一生懸命覚えたけど仕事とそれらの習得に追われて
休みがなくてとにかく余裕がなくていつも疲れていた。

相方はそういう経緯はおおかた知ってたからお前ってそういうとこエライよなー
でも1人で背負いこむと身が持たないし、相手にちゃんと分かって貰わないと
無駄な苦労ばかりするぞ?と少し寂しげに笑ってボクに言った。

カフェやりたかったか?やりたいなら俺が店を出してやるぞと言ってくれたけど、
縁がなかったと思うのでそれはもういいよとぎこちない返事をした。

見ててくれる人はちゃんと見ててくれてるんだ。

しんどいこともしんどいと思えなかった、
今になって身を削ってまで何かをしても決していい結果にはならないんだと気づいた。

誰かのためにの前に、自分のために生きなければ
命を長らえてる意味さえ失ってしまうからこれからはしたいことをしよう。

夜、相方と寒いなかイルミネーションを見に行った。

LINEもTwitterもなかった時代。
会うことが全てで、終電間近の駅のホームで彼のことを見送るのが辛かった。

あれから20年近くが経っていた。

イルミネーションを見るフリをしてボクはこっそり相方を見つめていた。
流れてくる光の洪水にしばし圧倒されるも傍らに人がいる嬉しさで久しぶりに心が暖かくなった。

いきなり手を繋いでくれたと思ったら寒いだろって
相方は自分のマフラーをボクの首に巻いてくれた。

それはとても静かな夜。

来年も隣で笑っていてほしい。
今もボクの隣にはあなたがいる。

今まで、ありがとう。
そしてこれからもよろしくです。

本当に自分がほしいと思っているものを手に入れるには
それ以外のものに執着を持たないことからはじめるしかない。

もう、愛情を確認するための代償なんか求めなくてもいい。
そばにいてくれるという事実だけですでに満足なんだ。

空白の一年を過ごしてその思いがさらに強くなった。

今年は入院も含めて頻繁に病院に通うことになってしまったけど、
自分なりによく耐えたと褒めてあげたい。

白血球は低めだがまあ問題ないだろうし、
CD4は元々低空飛行なので基本値が低いんだと最初からあきらめている。

ここのところ身体に負担を掛けすぎたのか、
息苦しさや浮腫みが続いていたけど心配事も減ったしこれで良くなるかな。

先の事を案ずることのない日はくるのだろうか?

それはきっと無いのかもしれないけど、
せめてわんこが生きている間はちゃんと彼らに応えられる自分でいたい。

どうあがいたって同性しか好きになれない。
子供が大好きなのに将来の姿も、生きてる自分さえも描くことができない暗闇の世界。

自由はいつだってボクにいろんな色を見せていてくれていたのに
頑なに1人の殻に閉じこもっていた気がする。

もっと人を信じよう、、、、
信じられる人間になりたいと、いろんなことがあったからこそそう考えるに至ることができた。

淡く霞んだ月影とともに空に咲いた光の点滅はどんなイルミネーションより美しい。
それを大切な家族と一緒に眺めることができる幸せを、ともに還る場所があるこの世界を忘れてはいけない。

そうすればボクは本当の意味でもう「ひとり」ではなくなるから。

・・・クリスマスくらいいいよねと思って、元相方へクリスマスカードを送った。

彼が90年代から2000年前半まで運営していた
HIV関連のホームページにあったメールフォームからだけど。

もう彼自身も見ていないであろう一点の曇りなく
HIVの啓発活動に殉じて残骸だけが残ったホームページ。

ボクからのメールを発見するのは
数年先になると予想しているけどそのころボクは生きているだろうか。

今度、元相方から連絡があったらその時には互いに想い出にできてたらいいな。

Happy Merry Christmas!
皆様も、健やかに良い年をお迎え下さい。


kumakoさんへ。

お久しぶりです。お元気でしたか?
わんこはライオンに変身してみんなに可愛がられてご満悦です(笑。
昨年はいろいろあって約20年ぶりにぼっちのクリスマスでした。
kumakoさんのブログを見て温かな家族像に触れられて
少しだけ幸せを分けてもらった気になれてました。

今日はちょっと気の早い快気祝いも含めてこれからたくさんの友人が会いに来てくれます。
まだ自分に人から想ってもらえる価値があるんだと嬉しくて泣きそうです。

kumakoさんもみなさんと素敵なクリスマスをお過ごし下さい。
そうそう、お月さん見ましたよ。あまり天気がよくありませんでしたがいいイブになりました。





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