荒寥とした冬枯れの景色が広がって、あたりは淡い錫色の空に覆い尽くされている。
12月、寒さがひときわ増したこの季節に容赦なく通り過ぎていく時間の残酷さを感じていたり。


前日の深夜からわんこの具合が悪くて朝から獣医へ。
いろんな検査をするため、そして少し衰弱しているために入院することに。

わんこたちが通っている病院は全国から様々な患者さんがくる駆け込み寺のような病院で
師走だというのに病院の待合室にはいろんなわんこや飼い主さんたちで溢れかえっていた。

不安を隠せない様子を察知してか、飼い主さん同士、
初対面なのに話しかけたりして自分の順番がくるまで気を紛らせている。


わんこは心臓が悪く、最近は薬のおかげで小康状態だったので安心していた。
負担がかからないように健康管理に気を配りながら今のわんこでも楽しめることを探して日々を過ごした。


ボクはまだ君と一緒にいたい。

伝えたいことがまだたくさんあるのに。
君にはボクのことずっと見ていてほしいのに。

君たちがいるから辛い治療にも耐えてこれた。
神様がもしいるならばもうボクから大切なものを奪わないでほしい。

黯然たる苦しみはいつしか心も無くしていく。
なにもなかったボクに君らはいろんなものを惜しみなく与えてくれた。

心から救われたと思った。

月氷る帰り道、車の窓から眺める寂寞なジオラマの世界。
光と影を宿したその流れていく景色の中に気づけばわんこの姿を探していた。

ボクにとって君はいつまでも子供のころのままだ。

舞い散るイチョウの葉をジャンピングキャッチするのが好きだった。
ボールもフリスビーもまるで見向きもしない、ハウスも大嫌いで一緒にベッドで寝るような人間みたいなわんこ。

ふわふわでモコモコで、ちょっとドジで寝言がうるさくて、そして食いしん坊な君がボクは大好きだ。

たとえ好きなものに興味を示さなくなっても、たとえ名前を呼んでも見向きもしなくなっても、
一緒にいられる大切な時間を絶対に悲しいものにはしないからこれからもたくさん甘えてほしい。


上弦の月に願いをこめる。どうか無事に帰ってきますようにと。


きっと大丈夫。