冬支度のまえに。

2015/11/21

last word

t f B! P L
我のみや 夜船は漕ぐと 思へれば 沖辺のかたに 梶の音すなり


 愛情 不安 恋愛 劇的な邂逅 裏切り 友情  失墜と堕落 
内なる世界と外なる世界の狭間で浮かんでは消えていく不安や恐怖は言葉にならない。

暗雲が垂れ込めた人生の旅路の中、漆黒の闇へ漕ぎだす
別の音に耳を澄ませればボクは独りではないと安心できた。

 今日の朝、ずっと心配してたネットのお友達から久方ぶりに連絡があった。 
彼はゲイで相方さんはボクと同じ病気の人だ。

この夏は彼らにとって大変な試練があってその報告を聞いたときは自分の事のように涙が出た。 

この病気は常に他の重篤な病気に罹患する恐怖がつきまとう。
だからこそパートナーの存在はなにより計り知れない。

 強い愛、強い絆、、、 ずっと隣にいてくれる心強さはどんな薬よりも薬になる。
 文面からはたくさんの相方さんへの『大好き』が溢れていて
お友達の相方さんへの想いを知れて心が暖かくなった。

そして、季節は幾度となく変わっても一人になる痛みに怯えながら、
脆い絆を試し合った自分とは違う二人が少しだけ羨ましかった。

 1985年、初めてAIDS患者が確認されてから30年が経とうとしている。

ゲイの病気としてフォーカスされた90年代から今日に至るまで
日本ではエイズを取り巻く環境に実はさほど進歩はない。

天が下した罪と罰・・・疾病への理解より裁きが先だってしまうのは
知らないことへの自己防衛だから仕方がないことだ。

 AIDS/HIVが広く世の中に知られるようになり、
本格的に性教育に取り入れられるようになったのはここ数年のことじゃないだろうか。

 ボクがHIVだと発覚した10年まえ、インターネットは感染者への殺害予告で溢れていた。
同じゲイですらゲイの面汚しと断罪し自殺することを渇望されていた。

 命の選別という残酷に怯え恐怖し、失っていく物をただ茫然と見つめながら
孤独な闘病生活を送っていたようなそんな気がします。

 焼印をほどこせ、入れ墨を入れろ、隔離しろ、、、

ドクターですら見ても救われないからネットはするなと諌めてた
あのころと今も変わらない文字が電子の世界で踊っている事実。

 猜疑心に満ち感染者をこれだけ忌み嫌うのは先進国でも日本くらいだろうと思う。
ボクらはそれらに対してこの先も甘受しながらいつか理解してもらえる日がくることを願い、
そして理解される生き方を続けていくしかない。

 感染が分かってもリスキーな行為を続けた今話題のハリウッドスターの話は、
多くの真面目な感染者にとっては脅威であるとともにまた光でもある。

ゲイの病気、麻薬中毒者の病気から、ヘテロセクシャルも罹患する病気だと受容されて
社会に寄り添うことができるように、エイズへの心的傾向も変化していけたらいいなと思う。

 ボクの最高のお友だちへ。
 前にたいして更新してないボクのブログに出会ったから頑張れたと言ってくれたね。

苦しいときや泣きたいとき、辛いときにはボクのことを想い出してくれれば嬉しいです。
 いずれ消えゆく運命ならば、大切な人たちの心に残るような生き方をしたい。

 人生において身震いするほどの生命の重みを感じることは稀だ。
明日に繋がる未来を信じて最期に残したいものは何なのかを考えるのは悪いことではない。

 例えば、言葉一つでその人の人生が変わってしまうように、
自分の心が決めることを信じることもまた幸せへの近道なのだから。

 November 21, 2015 風太.


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