夕方、皮膚科へ経過を見せにいってきました。
治りはじめてきてて少し安心したのだ。
帰り道、残りがなかったので電車に乗る前にPASMOをチャージ。
財布の中から文字が薄くなったチケットの半分がでてきた。
元相方との思い出の残骸を見て固まる。
ね、人が大切な人を忘れていくスピードって知ってますか?
あの頃のボクと
今のボクは明らかに違う。
ボクは昔から逢いたい人にはなぜか必ず逢えた。
元相方はボクが感染初期に心の支えにしてた、それこそパソコン通信の時代から
ホームページを運営してた古参の感染者だった。
実際、ボクが見てたのは唯一そこだけで、
元相方は90年代から感染者として社会の中で生きてた大先輩。
当時のパートナーさんとの仲の睦まじさを綴った日記を読んでは、
いつかボクもこんな人に出逢いたいなって自分の将来を夢見てたりしてて。
その2年後に実際に感染者専用のSNSで神様が引き合わせてくれたけど、
ハンドルネームだけでは分からないはずがボクは最初から彼だって確信してたや。
おもえば元相方がひとりで沖縄へ旅しているあいだ、
彼がネットの出会い系で浮気をする夢を見たら本当に彼が浮気をしてたことがある。
しかもボクが彼の浮気を暴くために他人を装って掲示板へ投稿したら元相方が一発で釣れた、
そんな悲しい現実まであるから(元相方は出会い系で浮気するのがデフォ)自虐るしかない。
彼にはそのときに浮気を暴こうとする自分の人間性を否定されて一度は別れを切り出された。
だからボクは人と付き合うのはむいてないし愛してもらえないんだな。
なんでも見ないフリすればよかった。
いつかまたあなたに逢えるのかな?
もう二度と会えない予感さえしているのは、きっと当たらずとも遠からずなのだろうな。
一生、守ってやる!
その言葉に縋るあまりに自分にもあなたにも
『絶対に失敗しない生活』を課してしまった、そんな気がしてるや。
男は絶対にできない約束を簡単にするからずるい・・・
でもいつもその言葉に一生の夢を見てしまう自分がいて。
強気な言葉とは裏腹にどこか影があるあなたに、同じものを感じていつの間にか惹かれていた。
本当はどれだけ貧乏になっても夢を語るあなたが隣にいれば、そんなの耐えられたはずだ。
ボクはボクの生まれた街が大嫌いだ。
父親の暴力におびえて、母親のストーカー男から逃げ回って、
多感なころは貯金が尽きるまでホテル暮らしをしていた記憶しかない。
そうやって何かから、そして、誰かから逃げるような生きかたをしてきたせいか、
幸せのなりかたがこんな年齢になっても分からないや・・・。
そんな卑しい欠陥人間のボクなんかがあなたといる資格はなかったのかもしれない。
それでもあなたのこと、もっとみっともなく自分をさらけ出して応援すればよかった。
いまごろざまあみろなんて、どこか違う世界で笑っているんだろうか?
改札口の消えかかった常夜灯が前を急ぐ人の背中を照らしてる。
フィルムの中に切り取られた見慣れた風景がなんだかいつもよりぼやけて見えた。
どうしていますか?
ちゃんと薬は飲んでいますか?
横断歩道を小走りに渡りながらカバンのキーホルダーが寂しそうに揺れてた。
最後にくれたキーホルダー。
あなたの抜け殻を捨てられないうちは、そんなあなたを想ってしまうや。