脚本が扉をたたく人のトーマス・マッカーシーってことで面白そうかなって。
キャリアのどん底にあったスポーツエージェントのJBはなんとか起死回生を図ろうと
スーザン・ボイルを発掘したオーディション番組を見てあるアイデアを閃く。
彼はインド各地で野球選手を募集し、上位2名には賞金とメジャー球団への
入団テストの機会を与えるというコンテストを開催したのだ。
それがミリオンダラー・アームってのは表向きのただの体裁で、
彼は実は人材発掘を隠れみのにしたゲスな裏コマンドを隠していた。
銭ゲバだった彼も次第に自分が見いだした青年たちの成功のほうが
お金よりも大切なのだと変わっていくんだけどとても爽やか。
逆境から這い上がるサクセスストーリー物はスタンダードな手法でありながらも
そこに実話という付加価値が伴うと押し売りでない不思議な感動が湧き上がるから面白いのだ。
惜しむらくは、スポーツ選手に備わっているはずのハングリー精神が悲しいかな、
スクリーン上で無味無臭のものとして映ってしまってること。
カラダからにじみ出る本物の気迫を見て人は選手ってスゲーと思うわけで、
あまりの抑揚の無さにちょっとだけリアリティーを削がれるような印象を受けたかも。
でもそれを差し引いてもよかったんだよコレが。
また、違和感があるんじゃないかと思ってたA.R.ラフマーンのインド音楽も思いのほか心地いい。
上手い具合にポップミュージックにインドテイストをミックスしてるせいかすごくスタイリッシュ、
ほどよく映画に彩を添えている。
野球はチームでするものだが、人はひとりからチーム(家族)を知ったときどう変わるのか?
そんな心の機微がなかなか丁寧に描かれていて、本物の彼らは実際にはメジャーには
上がれてないものの、1人の人間として大きく成長していきます。
ハッピーエンドっぷりがこれでもかとザ・ディズニー映画なので安心して見れるのだ。
ウダウダ何も考えずとにかくスカッとしたいならいい映画だと思ったや。
映画館を出るころにはボクも速攻スター選手になれるくらいのリビドーを放ってたに違いないわけで。
もう、スタスタ歩いたし、スタスタ地下鉄にだって乗った、そしてスタスタ帰ってきた。
剛速球を投げるかのごとく。