皆さんこんばんは。
人は一生のうちに、一体どれだけの事を学べるのだろうか。
ひとかどの人間になりたいと願い、目に見えない目標に向かって突き進んでいく。
動物はありのまま生きる。こうなりたいと憧れて努力するのは人間だけかもしれない。
一生懸命な想いは、ときに脳のリミッターを外して実力を底上げしてくれます。
脳にダメージを受けた僕は一時のあいだ、歩行障害や記憶の混濁を起こしていました。
軽度の社会スキルの低下で済んだのですが、僕はすっかり自信を喪失していたのです。
瞬間記憶力に近いというか、元々僕は本を丸暗記したりするのが得意でした。
だから見て覚える、学生時代からそんな方法の勉強をずっとしてきました。
アイデンティティを形成する記憶は問題なかったのですが、
記憶検査の時に違和感を感じたことで、自分が以前と変わったのだと分かりました。
言語記憶、視覚記憶などの検査があったのですが、
ストーリーの再生をしないといけない時に、8割程度の話しか覚えてなくて。
今までの自分なら、一字一句間違えずにそのまま言えていたことに気づいたのです。
医師は日常生活になんの問題もない。大丈夫!と太鼓判を押してくれましたが、
本来の僕を先生は知らないので、良かったーと言いながら心の中は不安でいっぱいでした。
出来てしまった病変以外に、抵抗力が落ちてHIVウイルスが脳へ回ったらどうする?と。
継ぎ接ぎの毎日。途切れ途切れの記憶が続いていた頃はそんな毎日が苦痛でした。
あるとき、介護で一睡もできなくなったことがきっかけで異変が起こった。
呼びかけても全く反応しなくなってそれで病気が分かったのです。
今は回復しましたが、以前と生き方が変わりました。
自分が培ってきた技術が無くなると、足下から崩れて激しい虚無感に襲われてしまう。
昔から生きる意味を見出せないのに、これで終わったと魂が死んでしまった感覚でした。
もう欠けてしまったものはしょうがない。
そこから、僕なりの厳しいリハビリが始まりました。
まず、資格試験に挑戦。
今度はノートに書いて、とにかく書きまくって、それで記憶するようになりました。
何度も何度も反芻する。繰り返しの作業に慣れてなかったので最初はキツかったです。
簡単に記憶出来てたことで、その能力にあぐらを掻いてた自分。
自分の証さえもあやふやになって、あるがままを受け入れることを恐れていました。
結果が出るまでは、一喜一憂しては落ち込んでばかり
それでもいくつかの資格に合格してやっと自分に自信が持てるようになりました。
現在は記憶することに関しては、おかげ様でなんの問題ないです。
本を丸暗記なんて芸当は、もうできなくなりましたけどね(汗。
人間はいつか衰えるし、いつかは死を迎えます。
鍛錬を続ければ違う形で願いが叶うこともある、そんな事を経験できたと思います。
生き方は何通りあってもいい。
永遠なんてないし、どんな事象もそれは人生のエッセンス。
そういう考えでいればいいかな、なんて。
何よりどれだけ記憶を失おうが、相方の事を忘れなければそれでいい。
今夜は冷えますね。
久しぶりにモコモコのルームシューズ引っ張り出してきたよ。
トイレ介助で起きてるから暖かいのは楽になるなー。
それじゃまた。